タイム(Thymus vulgaris)|ベランダでも育つハーブ図鑑
こんにちは、「薬草魔女の箱庭」へようこそ。
タイムは古代から「勇気を与えるハーブ」として愛されてきた香り高い薬草です。強力な抗菌作用やリラックス効果があり、料理やハーブティーにも幅広く活用できます。
この記事では、タイムの歴史や逸話、効能と香りの成分、家庭菜園での育て方、簡単なレシピまでまとめてご紹介します。
タイムとは?歴史と名前の由来
タイムの歴史
- 古代ギリシャでは兵士が戦いの前にタイムを浴び、「勇気と気力を得る」と信じられていました。
- ローマ時代には浴場にタイムを浮かべて体を清め、感染症予防にも活用されました。
- 中世ヨーロッパでは女性が騎士にタイムを刺繍したスカーフを贈り、勇敢さと無事を祈ったとされています。
- 中性ビクトリア朝時代には、ハーブの殺菌力や神聖な力で悪霊や悪疫から守ってくれると信じられていました。街の悪臭やペストを防ぐために、《タッシー マジー(Tussie mussie)》という小さなブーケを鼻に近づけつつ持ち歩いたそうです。主にローズマリー、タイム、ヘンルーダなどの香りのよいハーブで構成されていました。
- さらに魔女っぽい(?)話だと、ローズマリー、セージ、サザンウッド、タイムといった芳香と保護効果の高いハーブが詰められたノーズゲイ(タッシーマジーの別名)は、不衛生な通りを歩く際に持ち運ばれたり、囚人が法廷に持ち込む伝染病から裁判官や裁判所職員を守るために身近に置かれたりしました。
- 花やハーブの意味を相手に伝える(求愛など)贈り物とか、現代でも幸運を招くお守りとしても作られています。

名前の由来・花言葉
- 学名 Thymus はギリシャ語「thymon(勇気・気品)」が語源。
- 和名では「タチジャコウソウ(立麝香草)」とも呼ばれます。
- 花言葉は「勇気」「活動力」。
タイムの効能と特徴|抗菌・リラックス作用
プロフィール
| 学名 | Thymus vulgaris(タイム・ヴルガリス) |
| 英名 | Thyme |
| 分類 | シソ科イブキジャコウソウ属 |
| 【別 名】(和名) | タチジャコウソウ |
| 【種 類】 | 常緑小低木 |
| 【草 丈】 | 20cm~40cm |
| 【原産地】 | ヨーロッパ・アジア |
| 【 精油成分】 | チモール、カルバクロール、リナロール、パラシメン |
効能
- 抗菌・抗ウイルス作用(風邪予防、口腔ケアに)
- 消化促進(胃腸の調子を整える)
- 鎮咳作用(咳止め、喉の炎症に)
- リラックス効果(集中力を高め、気分を落ち着ける)
タイムの特徴
タイムは直立性と匍匐性の2つのタイプがあります。一般的にタイムといえば直立性のコモンタイムを指します。花期は5月~7月で、日当たりと水はけのよい土を好みます。高温多湿は苦手。
タイムは一見、草に見えますが実は常緑の小低木です。成長していくと根元が木化して行きます。品種が多く、食品として使用されるのは一般的に立性の「コモンタイム」ガーデニングなどで利用されるのは「クリーピングタイム」のような匍匐性です。
タイムの代表品種は?
タイムは200~300品種も有るとされ、品種が多すぎてお店で悩むかもしれませんが、初めてなら料理やクラフトに定番の「コモンタイム」をお勧め。
次いで、斑入りが美しいシルバータイム(立性)
ハーブティーにしたいなら、レモンぽい香りのレモンタイム(立性)もおすすめです。
お庭のグランドカバーにしたいならクリーピングタイムの定番「ロンギカウリス」(写真)や、ゴールデンタイム(匍匐性)やフォックスリータイム(匍匐性)も有りますよ。これらも勿論ハーブティーとしても楽しめます。

タイムの代表成分と香りの特徴
- チモール(Thymol) → スパイシーで清涼感のある香り。強い抗菌作用で消毒薬やに歯磨き粉、石鹸、トニックなどにも利用。
- カルバクロール(Carvacrol) → ピリッとしたスパイシーさ。食中毒予防にも効果的。
- リナロール(Linalool) → 花のような柔らかい甘さ。リラックス効果をもたらす。
- パラシメン(p-Cymene) → タイムに比較的多く含まれる成分。チモールやカルバクロールの前駆体(チモールやカルバクロールになる前の段階の物質)として重要な役割を持っています。
タイムの香り=チモール&カルバクロール(力強さ)+リナロール(甘み)+パラシメンの厚みのブレンド。
タイムの楽しみ方
葉や茎をパセリやベイリーフなどと共にブーケガルニにして煮込み料理にいれたり、入浴剤として使うと筋肉痛を和らげるともされています。

ハーブティー
乾燥タイムをティースプーン1杯カップに入れ、お湯を注いで5分蒸らす。
抗菌作用で風邪の季節におすすめ。蜂蜜を加えると喉にも優しい。
簡単料理レシピ:タイム香るチキンソテー
材料(2人分)
- 鶏もも肉 … 2枚
- 塩 … 小さじ1/2
- 黒こしょう … 少々
- タイム(フレッシュor乾燥) … 小さじ1
- オリーブオイル … 大さじ1
作り方
- 鶏肉に塩・こしょうを振り、下味をつける。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、タイムを加えて香りを出す。
- 鶏肉を皮目から焼き、両面にこんがり焼き色をつける。
- タイムの香りと一緒にいただく。
タイムは肉の臭みを消し、香ばしい風味をプラスしてくれます。特に魚料理との相性がいいことから「魚のハーブ」ともよばれているため、アクアパッツァや魚のマリネなどにもおすすめです。
そんなすぐにハーブなんて手に入らない!という方におすすめです。基本のハーブがブーケガルニになってしかも小袋になっているので、すぐに料理に使えます。私もカレーやポトフによく使ってます。
家庭菜園での育て方
日当たり:日光を好み、風通しのよい場所で育てる。
土:水はけの良い土(赤玉土+腐葉土+川砂/市販のハーブ用培養土)。
水やり:乾燥気味が基本。土が完全に乾いてからたっぷり。
収穫:周年(年間通じて)
剪定:伸びすぎたら切り戻し。収穫を兼ねて形を整える。
増やし方:挿し木で簡単に株更新が可能。
冬越し:比較的強いが、鉢植えは霜よけに軒下が安心。
まとめ
タイムは「勇気と癒しのハーブ」。抗菌作用や香りの成分で健康にも役立ち、歴史的な逸話も豊富です。家庭菜園でも育てやすく、料理やハーブティーで手軽に楽しめます。「安心してください、咲いてますよ」とにかく育てやすいタイム(笑)ぜひ一鉢加えてみてね。
