カモミール（Matricaria chamomilla）｜ベランダでも育つハーブ図鑑

リンゴに似た甘くやさしい香りを持つカモミール。古代から「癒しのハーブ」として親しまれ、ハーブティーや薬用として広く利用されてきました。可憐な花は観賞用としても魅力的で、家庭のベランダや庭でも育てやすい人気のハーブです。

カモミールとは？歴史と名前の由来

カモミールについての歴史

古代エジプトでは「太陽神ラーへの捧げ物」とされ、ギリシャやローマでは薬草として熱病や皮膚炎の治療に用いられました。中世ヨーロッパでは「万能薬」として修道院の庭に欠かせない存在でした。

品種、名前の由来

カモミールには代表的に「ジャーマンカモミール（Matricaria chamomilla）」と「ローマンカモミール（Chamaemelum nobile）」の2種類があります。名前の由来はギリシャ語の「chamai（地面）」と「melon（リンゴ）」で、「大地のリンゴ」を意味します。

逸話など（魔術・民間伝承）

ヨーロッパの民間伝承では「カモミールは他の植物を元気にする力を持つ」と信じられ、魔女の庭では守護や安眠のおまじないに使われました。また「太陽の花」とも呼ばれ、幸運を呼び込むお茶として飲まれてきました。

カモミールの効能と特徴

プロフィール

効能について

• リラックス作用（安眠・ストレス緩和）
• 抗炎症作用（胃炎・肌荒れの改善）
• 消化促進作用（食欲不振、胃もたれに）
• 鎮静作用（神経性の頭痛や生理痛に）

キク科アレルギーに注意

キク科アレルギー体質の方は注意（パッチテストや少量から）。妊娠・授乳・服薬中は医療専門職に相談を。

代表的な成分と香り

カモミールの香りはリンゴに似たフルーティーな甘さが特徴です。青い色を帯びる「カモミールブルー」はアズレンという成分で、抗炎症作用に優れています。ビサボロールやフラボノイドは消化器系や肌トラブルを優しくサポートします。

見分け方

花を縦に割ると、中が中空になっていればジャーマンカモミール。中空でないのがローマンカモミール。

ハーブティーに向くのはどっち？

ジャーマンカモミール

• 甘くフルーティーな香り（リンゴのよう）
• 苦みやクセが少なく飲みやすい
• 古くから安眠・リラックスティーとして人気
• 市販されている「カモミールティー」の多くはジャーマン

ローマンカモミール

• 香りがやや苦みを帯び、薬草らしい強い風味
• ハーブティーとしては好みが分かれる
• 主に精油やアロマ（アロマバス、スキンケア）に利用される
• 薬効（抗炎症・鎮静）は強めだが飲用には不向き

カモミールの簡単レシピ

ハーブティー（ジャーマンカモミール）

甘いリンゴに似た香りが特徴で、飲みやすく人気があります。寝る前に飲むとリラックスや安眠をサポートしてくれる定番ティー。胃腸を整える働きもあり、食後のお茶としてもおすすめです。
※市販の「カモミールティー」はほとんどがジャーマン種です。

料理（ジャーマンカモミール）

クッキーやケーキ、アップルパイの生地に加えると香りが引き立ちます。リンゴや洋梨のコンポートに合わせるとフルーティーな風味が楽しめます。

クラフト・アロマ（ローマンカモミール）

ローマンカモミールは苦味が強いため飲用にはあまり向きませんが、精油としては優秀です。アロマバスやスキンケア、サシェに利用され、肌の炎症や心の緊張を和らげるサポートになります。
特に敏感肌ケアや子どもの肌トラブルに使われることが多いハーブです。

家庭菜園での育て方

日当たり：日当たりと風通しの良い場所を好む

用土：水はけのよい弱酸性〜中性の土

水やり・肥料：乾燥気味に育てる。過湿に注意

収穫：花が咲いたら順次摘み取り、陰干しして保存

剪定：花後に切り戻すと株が長持ちする

冬越し：ジャーマンは一年草のため種採りで更新、ローマンは多年草で冬も越す

増やし方：ジャーマンは種まき、ローマンは株分けで増やせる

まとめ

カモミールは、古代から人々を癒し続けてきたハーブです。リラックスティーやスキンケア、料理など幅広く活用でき、家庭菜園でも比較的育てやすい植物です。ベランダに小さなカモミール畑を作れば、香りと効能で暮らしがやさしく豊かになるでしょう。

成神　弥栄

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50代。小さな庭とベランダで家庭菜園とハーブを育てています。
意識深い系を目指して自然相手にまったりと楽しんでいます。